荻野 アンナ
作家

楽曲の感想

ある年齢を過ぎると、出会いより別れが多くなる。体の線もゆるむが、涙腺もゆるむ。安易に泣くまい、と心に決めて聴き始めた。

クミコの軽やかな声が、波のようにうねり、歌詞のリアリズムが徐々に胸に沁みていく。六日目まで持たずに、涙があふれた。

実話に基づいたこの歌は、平凡と見える暮らしの、一瞬ごとが奇跡なのだと教えてくれる。愛は、歌の中で死を乗り越え、私たちに届く。聴くことが豊かな体験になった。

「あなたの最期の『七日間』」または、“あなたが最期にしておきたい、おかねばという願い”

私の最後の「七日間」

亡くなった母は抽象画家で、その作品が家に残されています。六日半はその保存のために駆け回るでしょう。あとの半日は、昼間からシャンパンを浴びます。