カメラマン 枦木 功

阿川 佐和子
作家・エッセイスト

「あなたの最期の『七日間』」または、“あなたが最期にしておきたい、おかねばという願い”

私の最期の七日間

もし私の命があと七日しかないと言われたら、まずはオタオタするだろう。部屋を片づけなきゃ。そうだ、あの方にもあの方にもお礼状を出していない。何より遺言を書いていないぞ。まずい! 間に合わない! バタバタしている私の後ろで、きっと亭主殿はいつも通り好きな漢字ドリルをやっているだろう。そこで私は心を決める。雑事は放ってあと七日間、ご飯を炊いてソーセージとおいしいお漬け物を並べ、ワイングラス片手にギリギリまで笑い転げて、お皿洗いとゴミ捨ては亭主に任せ、緑を抜ける風を感じ、夕日とお月様と星空をたんまり眺めて過ごすことにしよう。できることならば……。