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2010年3月19日

「ちっちゃな鶴」

ちっちゃなちっちゃな折り鶴が送られてきました。
ミッキーマウスの缶にいっぱいです。
このあいだまでクッキーが入っていたに違いないその缶に
今はちっちゃなちっちゃな折り鶴がいっぱいです。

送ってくれた人は闘病しています。
若い頃からずっと病気と一緒です。
その人のお母さんも病気です。
そのお母さんのお友だちがちっちゃなちっちゃな折り鶴を
送ってきたのだそうです。
86才のお友だちは、二人の病気が良くなることを祈って
ちっちゃなちっちゃな鶴を折ったのでしょうね。
本当にちっちゃいちっちゃい鶴。

ほろほろとこぼれそうな鶴をつまんでみました。
何かの包装紙を細かく裁断して。
だから色とりどりの鶴たち。
ひとつつまんで手のひらに乗せたらツッと涙がこぼれました。

原爆被害に関する本を読んでいます。
科学的な説明を声を出して読んでみます。
声を出すと、言葉がきちんとしみる気がするので。
ただ淡々と読んでいるのに、時々声がつまります。
広島に落とされた原子爆弾は「リトルボーイ」。
長崎に落とされた原子爆弾は「ファットマン」。
それぞれの写真が出ています。
「ファットマン」は「リトルボーイ」より確かに太っちょで。
台風にも戦闘機にも、そして原子爆弾にも愛称をつける人たち。

プロレスのキャラクターみたいなこの二つは、地上500メートルあたりで
爆発し、そこに生きていた生命を壊しました。
「リトルボーイ」も「ファットマン」もやっぱり原子爆弾でした。
原子爆弾の説明などいくら読んでもわかりません。
ただこんな難しいことを考えて作りだしたものが、結局殺人機です。
どれだけ効率よく人が殺せるか。
人の手を汚さず人を殺す。

禎子ちゃんのちっちゃな手と86才のおばあさんの手と。
どちらもちっっちゃなちっちゃな折り鶴を作りました。
さらさらと流れそうな浮かびそうな鶴たちは、手に取るとわかります。
その「想い」の重さが。

真夏の広島には。
ちっちゃなちっちゃな鶴たちをみいんな繋げて持って行きましょう。
不器用な私が、糸で繋いで。
さぞや綺麗な折り鶴たちでしょう。