「卵ツアー」
先だって卵をいただきました。
でも、私コレステロールが心配でどうのこうのというのを遮り。
「これはそんじょそこらの卵ではありませぬ。たいそう良い卵です」
その卵を12個押し頂き帰ってまいりました。
そして。
食べました。毎日食べました。卵かけご飯食べました。
両親にも分けてあげました。
どうも夢を見るのです。
起きても夢とウツツのハザマにいるような、そんな夢です。
そういえばしばらくごぶさたしてました。
他人の夢の話ほど退屈なものはないのでしょうが、
まあちょっと。
お彼岸をちょっと過ぎたあたりでしたか、おっきな水槽の夢を。
おっきな水槽をふと見ると赤い魚が斜めになって、どうも死んでる。
水は濁っていてどんより動かず、よくよく見るとその水槽にフタが。
何だか息苦しそうなフタを私、さっと取ってみた。
そしたら濁ってどんよりの水が、もくもくごうごうと盛り上がり、
中からありとあらゆる魚が。
ごぎゃんごぎゃんと波うちうねっているではありまんか。
ごぎゃんごぎゃんごぎゃんごぎゃんんん。
あ、亀!
亀も甲羅をガラスにへばりつかすように現れました。
立派な亀です。
位置関係はよくわからんのですが、下方はと見ると、
「モナリザ」の背景みたいなもやもやっとした「箱庭自然」。
その谷底らしきところに、亀いくつかが、干からびじっと動かず。
ためしにホースで水かけてみました。
すると、亀たちごにょごにょ動く動く。
そこここにできた水溜りの間をごにょごにょごにょごにょ。
壮観です。
何だかみいんな元気になったなあ。
でも水槽のフタだって開けたままじゃ困るだろう。
けど閉めたらまたみんな死んじゃうしなあ。どうしようかなあ。
など思っていると、どこかで見たような懐かしいような女性。
土手とおぼしきあたりで皆と楽しそうに大声で笑っています。
あれ、この人、おばあちゃん!
もうとっくに死んでるおばあちゃんじゃありませんか。
それにしても若い。
おばあちゃん、こんな若くていいのかなあ、こんなとこにいていいのかなあ。
私のオモワクなどまったく気にせず、若いおばあちゃん笑ってしゃべって。
すると、斜め後方から今度はおじいちゃん。
おじいちゃんとおばあちゃん、また笑ってしゃべって。
生きてる時ケンカばっかしてたけど、死んだら仲良しなんだな。
うれしいなあ。
起きてもしばらく魚と亀とおばあちゃんがまとわりついています。
何日かたっても、なぜかまとわりついています。
どれも温度を持っているのです。
生暖かい体温を寄せてくるのです。
一昨日実家に行くと、母親がゆで卵を一個冷蔵庫から出してきました。
「クミちゃんからもらった卵、あれ食べたら眠れなくなった。
足がむずむずして、寝にくくて寝にくくて仕方ない。」
やっぱり卵は滋養のある食べ物なんだね。
昔はお見舞いに持って行ったくらいだもの。
よくよくみると、でもこの卵、たしかに並みの卵ではないようです。
殻の色も厚みも、石膏でできたウソ卵のよう。
ゆで卵になった返品卵を、そっとポケットに入れました。
また行けるといいなあ。「卵ツアー」。