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2009年12月4日

「陽水さん」

陽水さん、好きです。
この国のミュージシャンで一番好きです。
ですから、この間中やっていた「SONGS」全部見ました。
何がいいって、このとろとろとした不思議なありよう。
口を開けばホントだかウソだかわかんない。
唄ってもホントだかウソだかわかんない。
ホントでもウソでもいいじゃない、って気がしてくる。
きっちり言い切っちゃう人がもてはやされる世の中、
それってちょっと危険だよね、って思う時、
陽水さん、示してます、オトナのありよう。
ホントとウソの間で生きる陽水さんですが、
でもホントなのは、その歌声。
昔から変わらぬ美しさ、なまめかしさ。
それとびっくりするのが記憶力。
あの難しい言葉たち唄うのに、何にも見てない。
そりゃ、自分で作ったんだからっていわれそうだけど、
アンチョコシンガーソングライターたくさんいます。
いつだったか初めて陽水さんのステージ見て、
膨大な言葉をぐいぐいと唄うの見て、
でもどこにもアンチョコなさそうで。
いやいやそんなはずはと、疑って。
後日、星勝さんにお会いしたので、私聞きました。
「歌詞見てないんですか?」
「見てませんね」
ひやああああああ。
覚悟が見えました。
ホントが見えました。

陽水さんの言葉って覚えるの難しい。
「少年時代」なんてあっちとこっちの言葉が
行ったり来たり。
どういう基準でこっちがあっちで、あっちがこっちか、
聞いてみたいくらい。
でも基準あるんですね、陽水さんには。
それも陽水さんのホントなんでしょう。

陽水さんがすごいのはスケベなとこでしょう。
こんなに高度なスケベ歌を作れる人はいない。
ましてあのスケベな声で唄うんですから。
もう参ります。
こういうスケベセンスがわかる人はステキです。
こんな人が多い国はきっとステキです。

でも陽水さん、もちろんスケベだけじゃない。
「最後のニュース」なんて歌作っちゃう。
わけのわからん世界と社会と自分と。
全部まるごと歌にしちゃう。
禁じ手ナシな全方位な陽水さん。

陽水さんの周りにはいつも透明バリアがあるようです。
これを行ったり来たりできる人は、誰もいなくて。
ただ自身が、そこで深い息をしているような。
陽水さん、どこまでもどこまでも孤高です。
だから陽水さん、好きです。