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2008年4月5日

「オシャベリなお相撲さん」

「男は黙ってナントカビール」なるコマーシャルが一世を風靡したのは、もうずいぶんと昔の話だが、元来この国ではオシャベリな男が好まれない。「沈黙は金」で「言わない」ことが「言う」ことに優り、そこにある種の「品格」や「威厳」を感じる、ということらしい。

朝青龍という人の悲劇は、彼のフィールドが「相撲」だったことにある。
これがサッカーとか、アメリカンフットボールとかボクシングとか、まあおよそ「相撲」以外のスポーツであれば良かった。

「相撲」はことの他ムッツリスケベが尊ばれる。どんな下心を持っていようと、どんな卑劣なことを考えていようと、とりあえずムッツリ無口であれば波風は立たない。いいかえれば自分の言葉を持たないことが大切だ。

言葉を持つことは自分を表現すること、自分の感情を表すこと。苦しい戦いに勝ってもヤッターなんていっちゃいけない。まして「大阪スキヤデ」とか、Vサイン付きの「イエーイ!」などもってのほか。ギャグにあるように、何を聞かれても激しい息遣いの中モゴモゴウーウーいってる、それが正しい「お相撲さん」なのだった。

モンゴルの青空の下、身も軽く走り回る姿や、マゲをほどいて一本に束ねられた髪を見ると、つくづく気の毒になる。この人、やっぱり野性とスピードに溢れたジンギスカンの末裔なのだった。

そんな訳で、どうにも職場を間違えたと思われる朝青龍だが、こうなったら早いとこ引退してもらって格闘技に行ってほしい。オシャベリでムラ気の格闘家ほど面白いものはない。今から楽しみだ。