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2010年6月6日

「コワレモン」

突然、アメリカはニューヨークに行くことになってしまった。 このコラムが載る頃には、もうすでにセントラルパークの空の下、 唄い終わっているはずだ。

ニューヨークに行くというと大抵の人は「そりゃいい」といってくれるが、 鉄の塊が宙に浮くことが、未だに納得できない者としては、 足元に広がる空を想像しては不安にかられる十数時間、 もはや拷問に近い。

とまれ、6月6日のジャパンデー。日本の文化をより知って もらおうという大がかりな催しは、今年で四回目になる。アト ラクションとして参加する私は、世界のナベサダさんの前の出番。 唄う曲は原爆をテーマにした「INORI~祈り~」と「一本の鉛筆」も入る。

英語詞を字幕で流すかどうかでケンケンガクガクの有様は、この問題が 未だに神経質にならざるをえないものなのだと改めて実感する。

落とした落とされた、で片付く話ではない。被害者と加害者は、目の前の 尾をくわえようとしてバターになってしまった虎たちの話のように渾然一体、 どこが始まりだか終わりだかわからない。原因と結果は入り組み、これまた ぴったりはまった組み木細工のように外側からはうかがいしれない。

はじめてのニューヨークで石投げられたらイヤだなあ、と思う。ブーイング されるのもイヤだなあ、と思う。何でこんなことにと恨みがましい気にも正直、なる。

でも、人間ってコワレモンですから、とだけ伝えたい。あなたも私もみんなコワレモン。 破壊されたのは建物だけじゃなく、そこに息づいていた生命あるものすべて。 コワレたら元にもどせないのがコワレモンなんです、と伝えたい。

果たして私のミッションは達成できるのだろうか。