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2008年12月6日

「しっかりしなきゃ」

好きなコマーシャルがある。

薄暗い部屋で、大きな水晶玉を真ん中にして占い師と女の子が向かい合っている。占い師の一言一言にハズされた女の子は、やっと思い知る。「しっかりしなきゃ」。

この言葉を自分に言い聞かせるように明るい表通りに出た彼女は、さっそうと歩きはじめる、というやつだ。

自分のことは自分で決める、自分を救うものは自分でしかない。こんなこと当たり前のことではあるけれど、人はやはり弱いもので、時々ふらふらと「占い」に心を動かされたりする。

その昔は私も「恋愛占い」なる特集がある雑誌を買い込んでは一喜一憂したし、今でも心寒くなると、ふと星占いの友人を訪ねようかと思ったりする。 占いは統計学だからね、と知ったようなことをいっても、やはり占いは占いなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。

そういえば、先だって大阪に行った折、知人の男性が、ここらあたりに「前世占い」の名人がいるといい出した。どうやら一代あたり千円とかで。そんならと彼は五代前まで聞いてきたらしいが、一つ前がドコドコのナニナニで、その前がドコドコのナニナニで。

ただ目を丸くする私たちに、五つ分の前世を披露した彼はフッと照れるようにいった。 「だからどうだっていわれても困るんだけど」

そりゃ、困る。みんなで空っぽの箱を覗いてるみたいだ。もう一回行って同じだったら信用するよ、そんなこと位しかいえない。

信じられないことばかりが起きる世の中で確かなのは、人は生まれて死ぬ、ということだけ。その道筋に裏道も抜け道もない。しっかりしなくちゃ。