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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2000年5月14日

私は時々、日本人をやめたいなあと思ってしまうのだけれど、最近では、森というヒトが総理大臣になった時がそうだった。
うららかな昼下がり、ついさっきTVをつけたら、沖縄に着いた森というヒトがエラソーにタラップを降りて、エラソーに地元のヒトにあいさつしていた。
地元のヒトも地元のヒトで(沖縄のヒトは顔でわかるのだ)、ヘコヘコ、ペコペコと頭を下げている。
なんでこうなるの。
これじゃあお代官(おデーカン)と百姓だ。
チョンマゲつけてないだけ。
ああ、むなくそわるい、とカッカしている私は、これから23日のコンサートのための、たった1回のリハーサルにいくのです。
まずい、まずい。
メンバーは前とおなじ、上條さん、土屋さん、渡辺さん。
アレンジを新しく考えなきゃいけないものもあるし、テンポだって冷静にとらなきゃならないし、それに、あの新曲たち、どうすんの。ああ、ああ…。
このイライラはホームページを開くことはできても、いまだにメールを打てないことにも原因があるのかしらん。

2000年5月15日

“接吻”について、また。 あるいは“恋”についてかもしれないけど。

私か10代か20代の頃、世の中にはハイライトという煙草を吸うオトコたちがたくさんいた。
その頃、大好きだったヒトも、やはりハイライトを吸っていたので、接吻するたび、私の体の中には確実にニコチンが注入されていった。
まだまだ子供だったらしい私は、そのたび、吐き気と目まいにおそわれ、そのヒトの部屋から帰る電車の中で、いつもモーローとしていた。
そして、少しずつやせていった。
恋をするとやせるというのは、こういうことだと思った。

ちょっと前、TVで“もう頬づえはつかない”というATGの青春映画をみた。
そして、あまりの“ツタナサ”に驚いた。
私の知っている、きらめく“恋”は、恥ずかしい“日常のできごと”に変わっていた。
裸で煙草を吸いながら接吻しあう若い男のヒトと女のヒトをみながら、あのハイライトの吐き気を思いだした。

…切ないヒトトキでした。
ああ、オシマイ。

2000年5月25日

5月のライブがおわりました。
たいへんでした。
コトバがボロボロ落ちていくのです。
下手な金魚すくいのようです。
ここ数日飲んでいたメラトニンのせいか。
もう、オブチ化しているのか。

そうそう、名前が変わりました。
ただの「クミコ」になりました。
「クミコ」改造計画により、
スタイリスト 中村のんさん
ヘアメイク 藤原美智子さん
カメラマン 安珠さん
一流のスタッフに囲まれました。
松本さんのお友達です。
ステキな女性たちです。

ゴツゴツと暗闇で壁にぶちあたるような恐怖の中、
ライヴは終了しました。
全作品の作詞者は、やはり恐怖の中、眼があけられなかった、
といいます。
着替えて客席に戻り、またゾッとしました。
細野さんもいる、あがたさんもいる、佐野史郎さんも、
矢野誠さんも、鈴木慶一さん、博文さん、ダリエさん、
かせきさいだぁさん…。

心療内科かなぁ、脳神経科かなぁ、
やっぱり精神科だろうなぁ。
とにかくメシくおう、と思った私でした。

クミコ

2000年5月29日

コワイこと。
お湯で顔を洗っていて、ふと眼をあけようとする時。
眼はよく水で洗うから、そんな習慣でするのだけれど、
それが、けっこう熱いお湯の時は、何だか頭の中で
目玉焼きがイメージされて、コワイ。

時々、お金がヒト様の戸口に投げ込まれるニュースがあったりして、
フツーのヒトの私たちには、
それはとても不思議、不可解なことに思える。
けれど、この前、郵便局で速達を出して、そのつり銭8000円あまりを
帰りに出入口にあるポストにポンと投げ込みたくなった時にはおどろいた。
その時、思い出したのが光に飛び込む習性をもつ虫や蛾のことで、
もしかして、車のライトに飛び込む習性のヒトも
ゼッタイいないとはいえない、と思った。
事故死とされる中には、夜道明るいライトに吸いよせられるように
車に飛び込んでいったヒトもあったかもしれない。
コワイことだ。

お金をヒト様の戸口に投げ込むヒトも、
あれはやはり習性なのかもしれない、と思い、
本当にコワイことは多いとうなずいた暑い一日の始まり、でした。

2000年5月31日

「発見」というのは、いつも楽しい。
きのう、「やさしい娼婦」と「情熱」のレコーディング。
またしても、慶一さんっぽい、カッコいいアレンジ。
感心して聴いているが、唄うのは私。
「情熱」を「さり気なく」という。
困った…。
救いを求めるように松本さんを見るが、
一瞬の沈黙のあと「唄ってみたら」
  ジョオネツ、ジョオネツ、アイガモエテル。
  ジョオネツ、ジョオネツ、アイガモエテル。
  ジョオネツ、ジョオネツ、アイガモエテル。
おさえて、おさえて唄っているうち「冷たいほど燃える」
ことって、あるな、と思う。
燃えれば燃えるほど、冷たくなるってこと、あるなと思う。
そうだ、「情熱」は「冷たい」。新発見。
思わずカラダがゾクッとしてしまった私でした。

そして今日は「心の指紋」と「ちょうちょ」
どんな発見が待ちうけていることやら。