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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2003年7月7日

前を歩くスラッとしたオトコのヒトの後ろにくっついて、
おんなじ歩調で一生懸命歩いてるのに、
どんどん離されていっちゃうの、不思議だったらないの。

銀座へ向かう電車の中で会う早々、母親が話し始める。

「そりゃあ、足の長さが違うんだから、歩幅が違うし、
離されるの、当たり前だよ」
と、さとすが、母親はおかしくてたまらないというように
クスクス笑ったままだ。

そういえば、冬の頃には、家の前にある電柱の灯りのつき方が
ミョーだといっては、夕暮れの、その時間を待って
窓の外を見るのだといっていた。
「フラフラ、ユラユラ、お化けみたいにつくんだから」

無邪気というか、コドモに返っていっているような気さえするが、
年とともに気むずかしくなる老人よりは、格段扱いやすいので
とりあえずは喜ぶべきことのようだ。

半年近く母親とは歩いていなかった銀座の街角は、
あちこちでビルの再生中らしく囲いがしてある。
どこもここも外国ブランドの店ばかりができるらしい。
デパートのショーウインドウもブランドだらけ。
ツマンナイ街になったね、といい合いながら歩く。

こんな足元が浮いてるような街を誰が望んでるんだろう、と思い
でも、六本木の新しい街にもヒトがひしめき合うことを思い、
はたまた、自分の身の回りに、そんな友人が一人もいないことの
幸せを思う。

今朝、起きてテレビをつけたら
れいの覆面議員が、議会で代表質問をした、というのと
この覆面議員がAVに出演していたらしい、
はたしてこれはホンモノかどうか、というので
相手役の女性に突撃インタヴュー、なんていうのを
やっていた。

覆面してるからねー。たしかにねー。
わかんないよねー。ホンモノかどうかー。
それにホンモノっていってるヒトだって覆面してるからねー。
やっぱりわかんないよねー。
と、いうことで、このヒトは結局どこまでいっても
ただ「わかんないヒト」であるようなのだった。

「顔のわかんないヒト」はどこにでもいて、
ブランド店に押しかけちゃうヒトも、
覆面したヒトを一位で当選させちゃうヒトも、
その「顔」はさっぱりわからない。

しばらくぶりに入った銀座の和食屋は、
食べているうちに、口数が少なくなってくるほど味が落ちていた。
料理人の「顔」のわからない店になり果てている。

昔、越路吹雪が唄っていた「一寸おたずねします」。
日本の高度成長時代の自己喪失の歌を思い出した。
「どこかで私を見かけなかったでしょうか」

時代は変わっても、そここで「顔」を失う
ヒトや店や街は増えている。

2003年7月18日

「お休み」のお知らせ


いつも、ご愛読ありがとうございます。
大変、申し訳なく残念ですが、この「クミコ日記」を
しばらくお休みさせていただくことになりました。

実は10月にこの日記などをもとにした初エッセイを出版することになり
それに向けての諸作業、
そして、新たに依頼されました「クミコのうたものがたり(仮)」という
原稿の準備にあたらなければならなくなりました。
本業のレコーディングも昨日(7月17日)から始まり、
ここにきて、性能の悪いアタマとカラダが
とうとうギコギコ音をたて始めました。

そのような訳で一段落いたしましたら、また再開したいと思います。
近況などは「観客席」にコマメに書き込んでまいりますので
どうかお許し下さい。

それでは皆さま、これからの暑い夏にむけ、どうかお元気で。