クミコオフィシャルサイト - Kumiko Official Site

クミコ - ココロの扉をたたくウタ

茶目子のつれづれ著作権表示

2004年9月10日

「目は口ほどに」

「目は口ほどにモノをいう」というが、ドーピング問題を起こしたハンマー投げの選手をテレビで見るたびになるほどと思った。「やっぱりウソじゃん」と思った。金メダルをもらった表彰式の時から、どうも目にチカラがなかった。自分のしてきたことへの疑いは、自分が一番よくわかっているはずで、さぞやツライことだろうと同情までしてしまう。

おんなじようなヒトをまたテレビニュースで見た。ブッシュ大統領だった。共和党大会でおのれの正当性を訴えながら目が虚ろである、と私は思った。アメリカが強いチカラで世界の平和を守る、アメリカのやってきたことは間違っていない、と泳ぐ目で叫ぶ姿に、「やっぱりウソじゃん」と思った。

「アオミドロ」みたいな目をしたヒトに出会ったことがある。まだ20代の頃、酒場のピアノ弾きの仕事を終え、雑踏の中、切符が券売機からポトンと落ちた途端、横から手が伸びた。なにするんですか、叫んでその手をつかむとホームレスのオジサンだった。
私の勢いに毛圧されたか、最初は威勢のよかったオジサンは、そのうち「こんな体じゃ働けないんだ」とぐちり始めた。アオミドロ目が徐々に水気を帯びてくる。もう、いいや、チカラが抜けた。「ヒトは働いて金を得るべきである」とホームレスのオジサン相手に説教をした私はもう、そのオジサンの年の頃である。

先週、新しい使い捨てコンタクトレンズの購入時、カルテに「コンタクト装着期間」を30年と書き入れた時クラっとした。痛くて拷問のようなハードレンズ、厚くてモコモコしたソフトレンズなど、「今は昔」の商品たちが思い出される。「30年、ですね」。 店員が驚いたように確認する。

そう、あなたが生まれる前から使ってんの、そんな昔からコンタクトってあったの、ソフトレンズにいたっては使用を誤るとこうなるって白目中に赤い血管が走っている写真まで見せられてね、まあ開発間もないから私たちが人体実験ってことらしい、すごいでしょ、と口には出さず店員の可愛い顔をみつめたのだった。