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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2008年8月2日

「危機管理」

集中豪雨で被災した地の友人からメールが来た。「地震といい、水害といい、理由なき殺人といい、崩壊の前触れでしょう」

仕事の打ち合わせで会った女性は、地震雲が出てるの、もう怖くて。それにこの頃夜、潮の香りがするの、これって関東大震災の時にもあったんだって。

もう八方ふさがりである。人の心も、天や地も、唸りを上げて転がっていくような気がする。まっ黒にポカリと開いた闇へと。

あわてふためいていても仕方がない。とりあえず足元を固める「準備」でも。ところが平穏ボケした頭には、どうにも非常事態がイメージできず、まあ、その時はその時、寿命というもんさ、とうそぶいてみる。 「危機管理」、一時よくいわれた言葉。大きく国でも小さく個人でも、確かに必要とされるアイテム。これがいかに難しいか、身をもって経験した。

ある朝、ボンヤリと机の上を見ていると、サイフがない。これまでナカッタことはなかったので逆上した。何をどうしていいかわからない。友人に電話をすると、カードを止めろという。交番に届けろという。

カード会社の控えもない。交番もどこにあったか思い出せない。普段、なくていいものは存在しないも同様なのだった。やっと辿り着いた交番で呆けたような私の顔をあきれたように見ながら警官が尋ねた。いつ失くしたんですか。「わかりません」

自分がどのくらい危機に弱い人間かわかった。何とかしなくちゃと思った。「準備」は必要だと思った。コンビニに届けられていたサイフを手にした時は、だから天にも昇るうれしさで心に固く誓った。二度と失くさないようにしよう。