クミコオフィシャルサイト - Kumiko Official Site

クミコ - ココロの扉をたたくウタ

茶目子のつれづれ著作権表示

2011年6月5日

「一歩だけ前に」

「あの日」から3ヶ月が経とうとしている。

本当にあの日を境に、すべてが変わってしまった。

いつもそこにあると思っていたモノが、もしかしたら、タマタマあるだけのことかもしれない。「明日」という日だって、もしかしたら来ないかもしれない。どれもこれもが不確かで、虚ろで、そうこうするうちに、自分自身がどんどん無力で希薄になっていく。

ふと、気づけば「クミコさん、ウツじゃないですか、PTSDじゃないですか」と気遣われる有様。

やっと普通に笑える、笑っている、そう思えたのは2ヶ月経った時だった。長いトンネルを抜け、少し息を落ち着かせ、さて、これからが本番。被災された方のためにできることを、もう一度考えねばならない。

そんな中で、新曲を出した。それも「恋」の歌。震災前に企画されたものだが「歌入れ」などの作業は、震災直後。時々、ワアと涙が勝手に溢れ、一体私はこのまま歌手などやっていけるのかと思い悩んだ。

でも、この歌は「恋」の歌であって「命」の歌でもあった。

石巻の山中で過ごした一夜、不安に怯える私たちを励ましたのはラジオから流れる暖かい声だった。誰かと今繋がっている、というそのことだった。生と死を分ける人々を見ながら、人を思いやること、愛することが、どれだけ尊いか改めて思った。

この先のことはわからない。でも、人を想い、恋し、愛することで、人は立ち上がれるエネルギーを持てる。

「一歩だけ前に出る 輝く命のため」この歌詞に力をもらいながら、唄っていこうと思う。