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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2009年3月8日

「“子供”って天才だ」

「ねえ、ちいさいクルマとおおきいクルマとどっちが速いの?」

ちっちゃなピンクの傘が揺れている。見ればマフラーもレインコートも長靴も、みいんなピンク色。隣を歩く若いお母さんが答えあぐねている。と今度は「じゃ、トラックは速いの?」「トラックも、速いよ」お母さん、ポソッと答える。

二人をゆっくり追い越しながら、困ったなあ、と思う。私だったら子供に何て答えてあげられるだろう。おんなじ50キロだったら、ちっちゃくてもおっきくても速さは変わらないよ、っていおうか。すると、じゃ50キロって何って聞かれるかもしれない。そしたら今度はどういったらいい。ああ、困った。

子供ってスゴイなあ、つくづく思う。考えもしないことを尋ねてくる。一瞬、頭に理科の授業のことが浮かぶ。ナントカカントカっていってたあの法則。真空だったら石でも紙でも同じ速度で落ちるってやつ。こんなことを発見する科学者もピンク色の女の子も、もしかしたらおんなじかもしれない。天才と子供はやっぱり近い。

そういえば、昨年ご一緒した「坂本スミ子」さんがいってらした。ウチ、熊本で幼稚園の園長やってますねん。三百人。子供ってホント、スゴイよー、サイコー。ご自身がおっきな子供みたいに目をキラキラさせて。

私の人生の予定表にも過去帳にも「子供」は入っていなくて、そのことで悔やんだことはないけれど、時々もったいないことをしたなあ、と思う。思いもつかない質問をされてひっくり返るくらいビックリしたかった。人間がおっきな宇宙のちっちゃな粒子だと思えるくらいビックリしてみたかった。ああ、残念。