2009年12月6日
「重い時代」
「私、パソコン全然ダメなんですよ」
こういう人がいる。わが事務所の代表も正しくこのタイプなのだが、これは裏を返せばパソコンがダメでも許される立場にいる、ということでもある。
先だって見たドキュメントでは、65才の男性がゴワゴワした指先で懸命にパソコンのキーを叩いていた。12年前にやっと見つけたビルの管理人という今の職場で、今では慣れないパソコンまで使いこなそうとしているのだ。人間、必要に迫られれば何だってできることの証明のような話だ。
だからといって「パソコンダメなんです」の人を叱咤激励するつもりも責めるつもりもない。ましてや、時々には、こういう人に向かって「それはスバラシイ」と誉める人もあるくらいだから世の中は面白い。そして、この誉める人というのは、大体においてパソコン中心で仕事をしている人なのだ。だからミョーな実感がこもる。
かくいう私。メールとインターネット検索ぐらいの、いつまでたっても初心者。写真を取り込むことも音楽をダウンロードすることもできない。デキナイんだかシナイんだか、よくわからない。
時々、この地球上にありとあらゆる「情報」が飛び交っていることを想像すると少しコワイ。あらゆる「記録」と「記憶」が混ざり合って地球がどんどん重たくなっていくような気がして落ちつかない。
原っぱが高層ビルに変わって、木が鉄になって、いつか地球ってヘコんじゃうんじゃないかなあって心配した子供の頃を思い出す。見えるものと見えないもので、もう息苦しいほどに覆われたこの星に、それでもまた「来年」がやってくる。