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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2009年7月5日

「街に“歌”が流れて」

ハンパシャンソン歌手の私が「歌謡曲歌手」になりたい宣言をしてから半年。

クミコさん、何でもやりますかの問いに「イエス」と答えたその日から、レコード会社のスタッフの動きが始まった。

外資系ではなく、古くからある街の「レコード屋さん」。彼らも足を踏み入れたことのない場所に出向き出演交渉をしてくる。

ここからが始まりですから、と待ち合わせたのが東京の小岩。千葉県に近い東京。そこから亀戸、錦糸町とことごとく「下町」をまわり唄う。インストアライブといえば聞こえはいいが「店頭歌唱」といった方がいい。みかん箱ではないものの、かなりそれに近い。

ある時は小さなお店の通路中ほど。どっちを向いて唄っていいかわからない。またある時は雨の中、かろうじて雨にぬれないビルのヒサシの下、セットされた箱によじのぼる。強い雨に向かいのビルがかすんでいる。

そして、大阪にやってきた。「十三」と「今福」。地元の人にいわせると「ディープ」とか「シブい」とか。そうかここは大阪の「下町」なんだ。

「この人、ものすごく上手に唄えるん」。私の歌をすでにマスターしたという大きな息子を指してオバチャンが誇らしげにいう。ありがたくて涙が出そうになる。行き場所のないようなオッチャンが足を止めて、歌詞カードを握りしめ懸命に口を動かしている。これまた涙が出そうになる。真昼のアーケードに私の声が流れる。そういえば「街に歌が流れてた」ってピアフのシャンソンもあった。

古今東西、やっぱり歌は街に流れるべきもの。こんなことがシミジミとわかった「店頭歌唱」の日々なのでした。