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クミコ - ココロの扉をたたくウタ

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2010年12月5日

ドキドキ紅白

子供の頃「紅白歌合戦」といえば、両親の故郷水戸に帰って、まだ若かったたくさんの叔父叔母たちとコタツを囲み、ミカンをその真ん中に、その日の朝刊に折り込まれていた「星取表」のような紙を手に、コッチがいいだの、いやいやコッチの勝ちだだの、ワイワイと、白黒のブラウン管テレビに見入る、それが年末の行事だった。

私のお気に入りは「越路吹雪」で、彼女の唄う「イカルスの星」に、デングリ返るほど打ちのめされた。他の出場者にはない「見て」楽しめる面白さ、今でいう「ビジュアル系」といっていいかどうか、とにかく予測不能な歌に、ただドキドキしてしまうのだった。

だから、というのではないが、自身が歌い手になって思ったことはドキドキしてもらえるようなナマな歌い手になりたいということだった。スイッチをポンと入れれば、いつもおんなじように流れる歌ではなく、毎回その人のその時の「想い」が、あぶりだされるような、こぼれおちるような、そんな歌い手になりたいと思った。

今も、その思い願いは変わっていない。でも同じことを同じにできるための厳しさも知った。失敗しないことの重圧も知った。

ギリギリのところで、一番の歌を唄う。これは至難の技だ。ましてそれが「紅白歌合戦」などというトホーもない舞台であればなおさら。そしてそのトホーもない舞台に自分が出ることになるとは。

初出場者の会見で、隣に並ぶ可愛い子供たち(確かに子供のといっていい年齢だもの)の、これから先の時間と、自分の歩いてきた後ろの時間とを、思い合わせながら、ま、どっちにしても大変だなと感無量になった。

神さまが与えてくれた場所で、これまた神さまが示された歌を唄うことに、とりあえずは淡々と向かいあいたいと思う。